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2009年06月07日

バス持ちはスズキには良くない!その1

私がルアーフィッシングを始めたのは、スズキが最初で、其れは現在も継続していますが、
淡水魚をルアーで狙った事が一度もありません。居を河川内に移してからは、外道でこれらが
掛かったりもしますが、意図しての事ではないので外道の域は出ませんね。


昨今では、ベテランシーバサー等と呼ばれる人の多くはバス釣り経験者かと思われます。
それに伴って浸透して行っているのがいわゆるバス持ちで魚を持つ人が増えました。


私が始めた頃の雑誌にはこの様な持ち方でスズキを持つ人は少なかった様に思います。
昨今のバス釣りに対する風当たりからか、海へ進出するバサーの方々も多い様に思え
ますが、本当にそれで良いの?と、問題提起をします。




バスとシーバス、いわゆるスズキは全く異なる魚であると認識を持って釣りをしている方が
非常に少ないかと思います。また、バスとメバル、カサゴ等の根魚も全く異なるのですが、
魚の支持方法が判を押した様にバス持ちなのです。



スズキの場合、魚を掴むのに適した場所は下顎と言うのに異論を挟む余地は無いの
ですが、単純に下顎を掴んだ持ち方と、バス持ちを区分けする為に先ずは
1枚の写真を御覧下さい。

バス持ちはスズキには良くない!その1

下顎を持ち、縦方向からぶら下げるのではなく、顎を横方向へ引いて、テコを使って
魚を支持する方法をいわゆるバス持ちと言うと思います。その際に、舌の部分を
裏側から押す様な形になってしまうと思います。そうする事でスズキの口は横方向に大きく
丸く、さも就餌時の様に開かれる事になってしまうのですが…




テストの為に、あえてこんな持ち方をしていますが、気に成る所はありますか?





鰓蓋が大きく開いていますよね。





不味いのはこの部分だと気付かない人が沢山いるかと思います。実際に大手サイト等
で掲載される釣魚支持画像等をずらっと見れば、この様な持ち方をして、大きく鰓蓋を開き、
それを横に持っている画像が沢山有ると思います。




何が不味いのでしょうか?




魚にとって鰓というのは生命維持に直接関わる部分で、大切な循環器です。ここが損傷
してしまうと、直ぐに死が訪れるといっても過言ではありません。人間で言う肺と同じ様に
酸素を取り込んで二炭化酸素を放出するガス交換を行うのと、魚体の塩分濃度を調節する
浸透圧調整機能、それとアンモニアを排出する機能もあります。これまた人で言うなら
肺と膀胱が一緒に成った様な物ですね。


しかも、これは鰓が水中にあって、間を水が通らないと機能しないという厄介な物です。
良く、掛かった魚を弱らせるには「空気を吸わせろ」と言われるのですが、これは単に
空気を吸わせる事が出来る様に「弱らせる事」が主目的であって、空気を吸ったから
直ぐに弱ったというのとはちょっと違うと思いますが、そこまで弱らせた魚の循環機能を
更に奪う事で、もっと弱らせる事が出来るのと同意だと思います。


ご存知の通り、魚は水中でしか生きられません。だから水中でしか機能しない器官を
持っているのです。その器官を、水中から揚げて、更に露出させたらどうなるのでしょうか?



待っているのは乾燥という厄介な事です。




乾燥が始まってしまうと、その機能を回復させるためには再びの湿潤が必要に成り、
余計に湿潤の為のロスタイムが必要に成って、そのせいで更に機能回復が遅れます。




鰓蓋を開いただけで直ぐに乾燥なんかしないんじゃないの?




では、こちらの画像を。

バス持ちはスズキには良くない!その1

上の魚を真上から見たものです。口が大きく開かれ、鰓が全て露出して、向こう側が
見える位になっているのがお分かりでしょうか?


空気は狭所を通過する事で流速を早め、乾燥させるという事を行います。ある洗濯乾燥機
や、イカ干し製造機などはグルグル回して空気を通過させ、乾燥を早めたりしますよね。
この開かれた鰓蓋の間を通過する空気でも同じ事が起こっています。空気なので見えて
いないだけです。



私のテストでは、釣上げて鰓蓋を全く開かずの1分と、開いたままにしておいた1分では確実に
魚の弱り方に差異が現れました。もし、写真撮影のために自分で準備しながらも、その間ずっと
開いた持ち方のままだったら?生存期待度の薄い後始末と言わざるを得ません。



例えば、イケスの中に入っている活魚や、観賞用の魚、これらを売る為には、先ず生きている
事が前提で売っていますよね、しかも、元気な物ほど良いといわれるのは当たり前です。
弱っていたりすれば、売り物には成らないというのは誰でも判る事ですね。その売り物である
生きた魚を選別するのに、わざわざ弱らせるような持ち方をして選別したら、



「お客さん、悪いけどその魚を買ってって」と言われるのは間違いないでしょう。



釣った魚の扱いはどうしようとその人の勝手ですが、極力弱らせる事無く離すのと、弱らせ
放題の事をしといて離すのでは、全く異なります。




スズキの、リリース前提の釣りでは
バス持ちはするべきではない



と、ハッキリ言いましょう。





何故、スズキでは良くないのでしょうか?




スズキは口から鰓蓋に掛けての体の構造上、下顎を下げて、裏側から舌を押すと鰓が
大きく開いてしまう構造になっています。これは他の魚と比較しても、スズキだけが常に
こんな状態になってしまう事が挙げられます。そんな持ち方でも、バスはそれほど酷くなく、
また一部の根魚は、同様の持ち方をしても鰓蓋が全く開かなかったりします。



単に魚を支持するのに、横方向へ開かなければならない必然はそれほど多くないはず
なのですが、このような持ち方が、間違った持ち方であると提起しなければ、このSAVE
の4項の様な事が減って行かないのでは?と思います。





では、どうすれば良いのか?





ランディングツールを活用してください。点接触で下顎を縦方向へ引っ張る(吊るす)様に
すれば、口は横開きせず、鰓蓋が開くのを防ぐ事が出来ます。

バス持ちはスズキには良くない!その1

これは下顎の横方向への広がりを防ぐ事が主目的なので、折角のツールを使っていても、
魚を横持ちしたりして、頭を上に持ち上げるような支持をすると、また鰓が露出してしまい
ますから注意が必要です。また、ツールを使わずに、親指と、人差し指だけで摘む様に
支持するだけで鰓蓋が開きます。特に小型の魚ではそれが顕著に現れます。僅か1cm
程の幅しかない指で支持するだけで、下顎は横に広がり、鰓蓋を広げてしまうので実に
厄介なのです。



点接触させるのが主目的な、これら幅の無いツール類は昨今色々な製品が販売されて
いますが、掴む部分の幅があって、必然的に開いてしまう製品もない訳ではありません。
また、幅の無い薄型の掴みを持つ物の中には端部の処置が悪くエッジが立っている物
や、鋭くて口幕に簡単に穴を開けてしまう製品もあるようです。それらはまた別の機会に
御話しする事にしましょう。



まぁ、とは言うものの、水中に入れていた魚をバス持ちして、直ぐに戻すぐらいの短時間
(それこそ10秒程度)であれば、それほど極端な弱り方をしないのですが、1人で釣りを
していると、どうしても色んな準備に時間が掛かりますから、弱り方も大きくなるのは否めず、
先ずは、極力そういった持ち方の習慣は付けないという事が肝心かと思います。



また、その時の自分の立ち位置(2項の釣りに対するスタンス)が何処にあるのか?
自分でしっかり決めておく必要があると思います。いくらメディアで他の人達が同様の
持ち方をしているのを見たからといって、その後離しているのか?キープしているのか?
では、魚の扱いは変わってしまうはずです。写真を取った時の格好だけ同じで、その後が
全く異なるのでは本末転倒です。



一度釣上げた魚を離しても、絶対に生存していると胸を張って言える様に成りたい物です。








記:森村ハニー




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この記事へのコメント
おひさしぶりです。
いつ再開されるのかと心配していましたが、よかったです。
色々アイディア提供ありがとうございます。
参考にさせてもらいます。

あまり、テーマーにこだわりすぎると窮屈な面もあるので、
たまには単なる釣りブログみたいな記事でも載せてください。

結局読んでもらえないと伝わらないので。

これからも頑張ってください。
Posted by 山猫 玉三郎 at 2009年06月12日 09:58
山猫様

お久しぶりです。ご心配をおかけしてすみませんでした。釣りには行っていた
ものの、ホームでの釣果に中々恵まれず、細々と写真を取り続け、ようやく、
少し貯まったので記事に出来ました。取材の為に釣れる場所へ行けば
直ぐ記事に出来て良いのですが、あくまで自分の好きな釣りの延長で、
取材を行いたいので、あえてそれはしませんでした。

魚の持ち方について、あと2項ほど記事の予定が有ります。其れが終わったら一段落なのですが、ちょっと私事忙しく、なかなか釣りにすら行けそうも
ありません。

また、少し開いたりすると思いますが、時々見てやってくださいませ。
Posted by morimura1morimura1 at 2009年06月12日 23:40
再開ですね。待っていました。またまたいい内容ですね。魚の持ち方についてですが、私は手でただぶら下げてます。高く掲げたりする必要もないので…。ですがあえてやや酸欠にしてから置いてます、暴れると傷ついて酸欠よりよくなさそうなので。場所は出来るだけ玉網の上か濡らしたコンクリの上です。最近はテールフックが魚を無駄に傷つけそうなので、ベリーにシングルフックだけでやっています。今のとこリップレスには相性がいいみたいです。色々試したいのですが、この時期バイトすら出せずに苦労してます…。
Posted by post at 2009年06月23日 09:06
post様
またまたコメントを有難うございます。ちょっと身内に不幸がありまして、
再開したのも束の間、当面釣りは自粛に成ってしまいました。orz

スズキはある程度の所で暴れるのを止めて大人しくなり、それから弱って
いくのですが、次々回は秋頃を目処にその件に付いてデータ収集をしよう
かと考えていた所だったんですが…。

逆にわざと少し大人しくさせると言うのは有効ですね。魚も暴れませんし、
余計に魚体も傷付ける事も少なくなるでしょう。ただ、私は以前に、大人しく
なったと思ってフックを外そうとしたら、親指の腹にフックがカエシまで
入ってしまい、魚は途端に暴れて、フックは刺さったままグルグル回るわ
で悶絶した事がありますw

何事も慢心はイカンと言う事ですので、どうぞご注意下さいませ。
Posted by morimura1morimura1 at 2009年06月25日 18:17
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